たけまさ商店の宗田節(そうだぶし)伝統製法
できるだけ同じようなサイズのめじかを選定しながら、お腹を上にして煮カゴに並べていきます。
並べるのは、ぐらぐらと煮ている間に魚の形が反ったり曲がったりしないよう、きれいな形をキープしたまま煮るためです。写真よりも大きいサイズの場合は、煮る時間が短縮できるようにこのタイミングでお腹を開いて内臓を出しておきます。
めじかのサイズにもよりますが 1 段の煮カゴに約45 匹を並べます。
釜立てされた煮カゴを 11 段ほど積み上げ、上の端は何も入っていない煮カゴを重ねます。カラの煮カゴは煮ている最中に、11 段目のめじかが浮き上がってしまわないよう蓋の役割をします。
- 準備のできた 12 段のカゴは、まるごと熱湯に浸けられます。
- ぐらぐらと煮ること約 1 時間。煮る時間は、めじかのサイズによって調整されます。
そして時間がくると、一気に釜から煮カゴが引き上げられます。
茹であがった煮カゴのめじかは、まだ温かいうちにスタッフの手作業によって、素早く頭・内蔵・中骨・しっぽが取り除かれ、二つにきれいに割られた身が、次々とセイロ(乾燥室に入れるためのカゴ)に並べられていきます。そして、次はいよいよ乾燥工程に入ります。
旨味をぎゅっと凝縮させ、おいしい「節づくり」に欠かせないのが「焙乾」です。
セイロに並べられためじかは、乾燥室に入れられます。たけまさ商店では、乾燥室の下段にウバメ樫という樫の木の薪を使用して火を焚き、その熱と煙がもうもうと上の階へ上ることで乾燥させていきます。
たけまさ商店では3階まで乾燥室があり、1階から出る湿気が上にのぼるため、各階の乾燥状態は異なったものになります。加えて天候や空気の湿度、めじかのサイズなども日によって異なるので、いつも乾燥の具合を見ながら状態によって階を入れ替えたり、火の強さを調整したり、繊細な加減をしながら約1週間かけて乾燥させます。
そもそも「焙乾」とは、火の力をもって乾燥させることです。
では、なぜ節づくりに焙乾が欠かせないのかというと、燻煙されることによってめじか独特の旨味と香りが作り出されることにあります。その他、火の熱によって雑菌を死滅させたり、燻煙による香り付けができたり、また燻煙によって表面がコーティングされるので酸化防止効果もあり保存がきくということもあります。
約1週間かけて焙乾がおこなわれためじかは、最後の工程として、さらに水分を蒸発させるため天気のいい日に半日ほど天日にあてます。
こうやって「宗田節」が完成しました。
ここからは卸品として出荷されるものと、加工されて製品としてパッケージに入れられるものに分かれます。
天日干しのあと、カビ付けを行う「枯節(かれぶし)」もあります。
カビ付けを行うとより乾燥させることができ、また一味ちがった旨味を楽しむことができます。