四国の南端、“海の秘境”をめぐる1泊2日の旅
四国最南端に位置する高知県土佐清水市。東京から行くのには日本国内では最も時間のかかる“海の秘境”と呼ばれています。しかしそこには“わざわざ”訪れるべき価値があると思わせるたくさんの魅力がありました。
うっそうと茂る亜熱帯樹林の中に建つ寺 第38番札所 金剛福寺
足湯に浸かりながら眺める自然の造形美 白山洞門
地元ブランド魚「清水さば」の絶品ランチ。 土佐清水さかなセンター 足摺黒潮市場
いにしえのロマンにふけるミステリースポット 唐人駄場遺跡
絵画のようなオーシャンビューを楽しむ宿 ベルリーフ大月
高知県最古の梵鐘「赤い亀」 延光寺
1日目 「時間をかける」という贅沢
国内で東京から一番時間のかかる神秘スポット
足摺岬
土佐清水出身の漁師であった万次郎は暴風雨でアメリカまで流され、近代的な航海技術や文明知識を学び、日本に戻った後は江戸後期、明治初期の文明開化の助けとなった。足摺岬灯台を眺めることができる展望台回廊の入口には、そのジョン万次郎像が遊歩道へ歓迎の意を示すかのごとく立っている。ジョン万次郎を横目に回廊に入っていくと、季節によっては椿トンネルを歩く事ができる。
わが国でも最大級の灯台のひとつ足摺岬灯台は白亜の美しさと太平洋の巨大パノラマを背景に建つ。その姿は展望台から離れて見れば雄大なスケール感を、近寄って見れば凛と建つ表情を表しているように思う。いずれにせよ、その存在感は遠くまできてよかったと一見の価値がある。
うっそうと茂る亜熱帯樹林の中に建つ寺
第38番札所 金剛福寺
うっそうと茂る亜熱帯樹林のトンネルを経て辿り着く金剛福寺。境内は120,000平方メートルを誇る大道場。前の札所から80余kmと四国霊場の札所間では最長距離で、まさに「修行の道場」といえる金剛福寺。濃緑の山を背に目の前には岬の断崖、雄大な太平洋とまるで浄土を連想させ、訪れる者を圧倒する。
足湯に浸かりながら眺める自然の造形美
白山洞門
足摺岬の近くで無料で利用できる「万次郎足湯」。眼下に広がる太平洋の中にぽっかり穴の開いた奇岩、「白山洞門」はぜひ訪れてほしい絶景ポイント。高さ16m幅17mのと言われる大きな洞門は花崗岩の洞門の中では日本一の規模を誇ります。
地元ブランド魚「清水さば」の絶品ランチ。
土佐清水さかなセンター 足摺黒潮市場
太平洋の大自然とおいしい空気を吸った後は腹ごしらえ。訪れたのは「土佐清水さかなセンター 足摺黒潮市場」は海に面した食堂で海を眺めながら昼食をいただける。人気は「清水さばのぶっかけ丼」。足が早いと言われるさばだが、鮮度抜群のこちらでは刺身でいただける。
天候や漁の状況によって食せる日とそうでない日があるとのことだが、ここを訪れないと食べられない味というのが旅の気分を盛り上げる。
高知県土佐清水市清水932-5
営/直販コーナー 8:00~17:00 レストラン 11:00~15:00(LO14:30)
※時期によって変更になる場合があります
休/無休(不定休あり) P/約100台 tel:0880-83-0151
いにしえのロマンにふけるミステリースポット
唐人駄場遺跡
土佐清水中心街から足摺スカイラインに入って中間地点より西に進路を取ると1kmほどで唐人駄場が見えてくる。芝の平地が広がる広大な敷地のあちらこちらに不思議な形の巨石が点在している。世界や日本の長野、北海道、奈良などにも巨石の遺跡は見られるが、ここ足摺にも多くの巨石を見ることがでる。なぜ?どうしてできたのか?などについては解明されていないが、その巨石群は何とも言えない神秘的な空気を放っており、いにしえのロマンを感じる唐人駄場遺跡。
絵画のようなオーシャンビューを楽しむ宿
ベルリーフ大月
とても海が近いベルリーフ大月。バルコニーからの美しい空と海が贅沢な時間を演出する。また、潮騒がゆったりとした旅を一層盛り上げる。何もない事がこんなにもありがたいオーシャンビュー。
2日目 どこか懐かしい旅。
どこか懐かしい海辺の街並
柏島
大月町の西南端に浮かぶ周囲約4kmの小さな島。大月半島と2本の橋で結ばれ、目の前には沖の島や鵜来島が望めます。
太平洋の黒潮と豊後水道がぶつかる温暖な柏島海域は、豊富な魚類と美しい珊瑚礁が見られ、スキューバダイビングや磯釣りのスポットとして全国的にも人気のスポットです。民宿などが並ぶ街並は映画のロケ地ともなったほど、どこか懐かしく、ノスタルジックな気分に浸れます。
高知県最古の梵鐘「赤い亀」
延光寺
土佐の霊場最後の延光寺。寺のシンボルでもある境内の赤亀像は、平安中期のころ竜宮城より赤亀が背中に梵鐘を背負ってき、これを僧達が寺に奉納したという伝説に由来する。
また、弘法大師が「宝医水」と名づけ、眼病にも効くとされる「目洗い井戸」があり、眼の周りを浸している遍路さんも多いという。
Another Trip 番外編
スローな離島時間を楽しむ
沖の島
7:00発と14:30発だけの定期船で渡ることのできる沖の島は、ノスタルジックな島の魅力を味わえる。豊かな海と自然、島ならではの日常風景。ゆっくりと時間をとって訪れた人だけが体験できる、スローな離島時間がここにある。
海から奥にむけて階段でつながる集落は、まるで要塞を思わせるような入り組んだつくりになっている。歩いてしか行く事ができない家々の中に混じって郵便局があるのが何だか不思議な光景に映る。
沖の島に向かう定期船の船上から見えるのは、黒潮が白亜の断崖につくった大自然の芸術「七つ洞」。上陸前から神秘的な自然の世界に圧倒される。船をチャーターすると、この神秘の洞窟を間近で見ることができる。
泳がない方でも訪れたいほど美しい、白浜の久保浦海水浴場や6月第1日曜に四国一早い海開きをするうどの浜海水浴場、多くのダイバー達を魅了する透明度の高い海と、マリンレジャーにもおすすめです。
沖の島の集落は急傾斜地に段々畑のように家が建ち並び、花崗岩を使った石段や石垣がとても美しく印象的。島の地形や気候に合わせて暮らして来た、機能美とも言える街並。
古屋野集落にある日吉神社へ通ずる急な石段は天に向かって昇っているかのような錯覚を覚える。自然、街並、文化、島の風景ひとつひとつに神秘的な魅力を感じる。
沖の島への定期船は1日2便。島の宿に泊まり、のんびり滞在するのもおすすめ。
定期船はお隣「鵜来島 うぐるしま」を経由し帰路へ。こちらもいつか訪れてみたい。